バシッ!バゴッ!ドン!バシッ!バシッ!
『痛い!お父さん!痛いってば!お願い止めて!痛い痛い痛い!』
『お前が悪いんだっ!お前が父さんの言うこと聞かない馬鹿な奴だから、脳みそがないから、こうしないと分からないんだ!』
ドカッ!ドカッ!
『お願い!もう殴らないでっ!』
『もう春の味方だった母さんは居ないんだ!お前のせいで死んだんだ!馬鹿なお前のせいで死んだんだ!殴されて当然だ!死んじまえっ!』
『ううぅぅぅうう...首....息が.....っあっ』
ドサッ。
『はぁはぁはぁはぁはぁあ』
ドカドカドカ、バタンッ。
.....はぁ。やっと部屋から出てってくれた....。
自分はいつ死ぬんだろう。

一週間前にお母さんは私の中3の授業中に携帯を使っていたと嘘の情報を丸呑みした先生に呼びたされ学校に来る途中にトラックに跳ねられて死んだ。

それまでは私達鈴木家はそれなりに良い暮らしをしていた。
でもお母さんが死んでからお父さんは変貌した。
変貌してからこの一週間ずっとDVやら性的暴行など色々されている。
けど誰も気づいてはくれない。
お父さんが元々ミュージシャンだったこともあって家には防音室がある。だから、外に音が漏れないんだ。
それに、周りの人達は気持ち的に沈んでるんだろって家から出て来ない私をそう思ってる。
だから、誰も気づいてはくれない。

そんな時お父さんに仕事で三日間の出張命令が出た。
その間私は静かに暮せる。
でも、またDVは帰ってきた時点で始まるだろう。
だったら、三日間の間に逃げてしまえば良い。
自分の中でそう結論がでた。
お父さんが出張に出た。
私はパソコンやありったけのお金を財布、缶詰や服とかも詰めて帽子を被って男みたいな、姿で家を出た。
携帯はGPSがついていたから置いて来た。
もう夜11時になる。
公園で寝るって気分が悪い。しかも1月でもあったから凄く寒い。
やることも無かったから月を見てぼーっとしていたちょうどその時、
『あれ、春?』
と遠くから聞こえて来た。
振り返ると幼稚園からずっと一緒だった幼馴染の秀太(しゅうた)の兄カズサ通称カズだった。
もう社会人で確か22.23あたりだったと思う。
『...お前何やってんの?つか、えっ!?その怪我どうしたんだよっ!』
『....カズ。助けれくれよっ。もう耐えらんねぇ....もう家には帰りたくない...』
『ハル...お前まさかDV受けてんじゃ....』
『...』
『ハル。俺今一人暮らししてる...俺ん家来るか?前みたいにまた晩飯とか食うか?』
...そうだ.......。カズんトコには小学校中学年までよく遊びに行ってたんだ....。
『カズは迷惑じゃないのか?いつまで居るかもわかんないんだぞ?』
『あっはっはっは。いつもハルはそうだったじゃないか。さぁ行こう』
『うん...』