振り返ってみれば、背が高めでかっこいい部類に入るであろう男子が驚いた顔でこっちを見ていた。


確かこの人、隣のクラスの人だ。



「…あ…だ、大丈夫!」


顔から火が出そうになりながら慌ててそう言う。


こんな間抜けな所を誰かに見られるなんて、あたし、とことんついてない。







「あははっ、水沢さんやらかしちゃったね」


急ピッチで作業をしていると上から人懐こそうな笑い声が聞こえてきた。

ふわっとシトラスが香ったかと思えば、隣に彼がしゃがんでいて。



「…え!…そんな…あ、あたし大丈夫だから!!」

落ちている紙を拾う姿に更に慌てふためく。



「いいっていいって」


「でも、」


「だって2人の方が早くない?」


確かにそうだけど…、ごにょごにょつぶやくあたしに彼は、



「ほら、ちゃっちゃと終わらせよ!」


屈託のない太陽のような笑顔を見せた。