……で、冒頭に戻る訳だが




「…なんでお前がいんだよ!」



いや、それさっき俺思ったし

中に入ってすぐ、偉そうにふんぞり返る男に目をやると、それは昔馴染みの奴だった

確か名前は栄蔵(エイクラ)望。



「俺はこの子の大切な人だ」

朔月を引き寄せフンッと鼻息を荒く


「『……はぁ!??』」



そうして突き飛ばされた俺は例の如く可哀想



『あのなぁ!さっきはちょっと見直したのに、ここでふざけるなよ!』

「なっ!俺はいつだって本気だっての!」


失礼な朔月にまたも近付こうとすれば奴の邪魔が入る



「おい、コッチシカトすんなよ」

「…やぁー望ちゃん。久し振りだなぁ〜元気?」


仕方ないから相手してやれば返ってくるのは嫌そうな顔

なんだってんだ、難しい奴だな


「…ハァ。お前は昔っから変らないな」

「…お前こそ、なんでココにいるんだよ」

「なんでって…後輩の事件を助けてやんのは当たり前だろ」

「…後輩?」


チラリと周りを伺えば皆コイツに頭が上がらない様子

…あれ?コイツ月牙関係だったっけ?


『……なぁ、そろそろ良いか?』


大切、とか言っておいて忘れてた!

朔月が怪訝そうに俺と望を見比べる


それゃ、戸惑うか
俺と奴が知り合いなんて想像できないだろうからな


「ごめんごめん。コイツはな、高校の同級生なんだ。喧嘩売られたり買ったりそんな商売繰り返した仲」

『そうなのか。でも月牙の総長に喧嘩売るとかスゲぇな』


お前が言うか!?!?


…じゃなくて、


「総長…?」

『ん?』


首を傾げて望を見るとニヤリと笑う気持ち悪い顔


…気持ち悪い


「お前、俺が総長やってんの最後まで知らなかったからなぁ…馬鹿丸出し」

「うるせぇな…全く気持ち悪い」

「あぁ!?」

「お前の顔がな」

「テメェ…まだ喧嘩売りやがんだな…良いだろうかっ…」

「ちょっと!!…良いですか?」


胸倉を掴み合った所で止めが入る

2人して見るとそこには月牙現総長が