暫く沈黙が続いた後、ガチャリとドアが開く音がした。


「…、くっら!」

入ってきたらしき男が声を発したと同時に急にパッと明かりがついた。
眩しさの余り目がくらんでチカチカしたが、慣れてから辺りの様子を確認する。


「…眩しーだろが」

「いやいやお前、暗すぎんだろが」

そこにはパーカーのフードを深くかぶり眩しさを主張する男と、狐のお面を着けた暗さを主張する男が。

何にしろ、二人とも顔は分からないままだ。

「…あ、お前来たから話途切れたわ。質問しなきゃ」

「は?お前まだんなことやってんのかよ」

「まだってなんだよ。仕事だろーが」

「いや、質問って。もっと簡単に済ませよーや」

スッとお面の男が近づいて来たかと思うと…


ドカッー…!

「ウッ…!」


腹に蹴りを入れられた。
意識が飛びそうになるも、なんとか押しとどまる。

…いや、それも計算された力加減のような気もする。


「なあ、君さ。月牙さんとこの子だろ」

「……」

「ちとボロボロになってもらうね?」


ニヤリ、笑ったような気がした。
背筋がゾッとするような雰囲気に圧倒されないように抵抗するのが精一杯で。

コイツらの目的が何なのか。
そもそもコイツらは何なのか。


サッパリ分からないまま…俺は全身の激痛に耐えるしかなかった。



…願わくば。

月牙に悪いことが起こらないように。





光輝さんに…迷惑がかかりませんように。






~要sideend~