世界観データ


「そーいえば、ハセさん怒ってた?」

陽がインテリア雑誌を下げ
顔だけこっちに向けた。

ハセさん とは早瀬の
サークル内でのアダ名だ。

「少しヘソ曲げただけだよ。」

「俺、渡すタイミング悪かったよね…」

「ほんとね。」

「すんまそん。」

「いーよ。それよりこれの続きは?」

「あー…と、服の上。」

陽が横になっているベッドのそばに
畳まれてない服が乱雑している。
それは洗ったの?汚れてるの?

バーガンディのパンツの下から
新刊の漫画を探し出す。

「あ、みっけ。」

漫画と一緒にこの前の飲み会で忘れた
リップグロスを見つけ出した。
なぜここに。

「俺ん家来るといっつも
忘れ物するよねー。
なに?わざと?」

雑誌に目を戻してペンを回す。

「あんたの部屋が汚くて
私物が紛れるだけよ。」

「抜けてるだけだろ。」

「ちゃあうわ、ボケぇ。」

リップグロスをポケットに入れ
ベッドのフレームにもたれ漫画を開く。


その日、リップグロスを
また忘れて帰宅した。
ポケットからいつの間にか
落ちてしまっていたらしい。

そのことを陽に報告すると
またバカにされた。