「ほら。これ、この前忘れたろ。」 なにも今渡さなくてもいいじゃない。 そう目配せをしながら 数日前にここの部屋に忘れた ピンキーリングを受け取る。 鈍感なそいつも 私の隣に座っている男の 苦い顔にやっと気付いたらしい。 「早瀬。勘違いしな「分かってる。」 男は不機嫌そうに立ち上がり トイレの方に向かって行く。 「ねぇ…ごめん。マズった?」 声を潜め、 そいつは申し訳なさそうに聞く。 「いや、大丈夫。リングありがと。」 一応、男のご機嫌を取るために 立ち上がりゆっくりと後を追う。