「恥ずかしい、よ」




「いいじゃん」





「う、うん......」




どうしたらいいのかわかんないんだ。





分かんなくて何も出来ないんだ。





「み、みんないるよ...」




気持ちが揺らいで、矛盾なことを言う。




「いるね」




「い、いるねって....!!」




「ククッ。恥ずかしがってるからやめよ」





そう私から離れる。





離れて欲しかったくせにいなくなると寂しい。




まだ体が感覚を覚えていて、




しっかりと熱を持っている。





「俺も、莉生に渡したいものあるんだ」




「え?何??」





「莉生ほどたいしたものじゃないけど、渡し忘れたなぁって」





「うん」




カラオケのときと同じバッグから、



チャックつきの小さな袋を出す。






「何これ」





「第2ボタン」




「え!!!貰っていいの??」





「もちろん」




「ウソ!!やったぁ!!!」




「それちぎってたら親に弟も着るんだからって怒られた」




呑気に笑っている。





「えぇ!!じゃ、ダメじゃん。返すよ。直せばまだ大丈夫だよ!!!」




「いいの、貰って」




「え...」






「莉生に貰ってほしいの」





「う、うん」





零の優しい言葉におぼれてしまう。