でも心地良いんだ。



耳たぶに髪の先があたって、くすぐったい。




零の腕が、膝が私に触れている。







ふっと零が頭を離した。




でもその余韻はしっかりと残っている。




静まった部屋の中。



ここにある全ての目が私たちに向いている。




零はスクっと立ち上がり、




「何歌う?」




と男子に向かっていい、



しばらくしてにぎやかな曲が流れた。




零とその友達が何曲か歌って、




しばらくしてマイクを放り投げてどかっとソファーに座った。




「疲れたぁ。喉かれるぅー」






ジュースをごくごくと飲み、私が零をずっと見ていることに気がついた。






コップを置くと、またソファーにあぐらをかく。




「莉生。おいで」




マイクを隣の人から奪って私に言う。





「え.....私?」





「おいで」





手招きしかされないで、零の近くに行くと、





「ここ」




と今度はマイクなしの、小さな声で、自分の足を指す。




「そこに?」