百合は私の隣にいたのに、



その場からいなくなった。







完全に姿が見えなくなったのを確認して梨乃は言う。





「ひどぉーい。ねぇ聞いて。百合、最近ね、全然話してくれないんだよ。何でかなぁ。私のことが嫌いになっちゃったのかなぁ。でも、それを全面的に表に出すのってだめじゃない??それは人間としてやっちゃいけないよねぇ」









相談のようなその言い方。




でも顔は全然悩んでなんかいない。



ただの悪口。





梨乃が大好きな、百合の悪口。






「人間として最低なのは、どっちかって言うと梨乃なんじゃないの」






それだけ言って、私も百合のところに行った。





梨乃は今度誰かに私の悪口を言うかもしれない。






もしかしたら、ついでに百合も琳も言うかもしれない。







それでも百合は言った。




「お泊り、行くでしょ?」






漠然と、その意味が分かったから、




「もちろん」




と答えた。





「千愛ちゃんもね」





「もちろん」