「セクションは、上杉さんじゃないんですか?」





顧問は不思議そうな顔をする。




「ごめんなさい。部長が教えてくれたんです。そしたら、上杉はセクションだって...」







顧問は優しいような、怒ったような顔をする。





「石上さん、あなたが一番立ち止まっているようですね」





「え?」





「分かっていますか?上杉さんは...。だから、セクションじゃないのです。分かりますね?」





子どもをあやすような声だった。




「分かってます。死んだことぐらいは分かってます。だけど、セクションは上杉じゃないのですか?」




矛盾してることぐらい分かってるのに。




なのに、口が止まってくれない。





「石上さん、頭を冷やしてくださいね。はやく、現実を飲み込んでください」






それだけ言って、顧問はパートリーダー発表に移った。





百合が変な目で私を見ていたのは、分かっていた。