傘から始まる恋



――――



ザァァァァ…



「いないかな……」


さっきからずっと、
待ってるんだけど…

なかなか彼は現れない。



「……行こっかな。結構待ったし。」



今日の所はあきらめようと決め、
足を進め始めたその時、


目が合った。
オレンジの傘をさした、
よく知っているあの男の子。



なんだか私には、
運命としか思えない。



あなただったんだね。



傘立ての前に突っ立ってた。
いきなり声をあげた。
私が綺麗だと思った…



あなただったんだね。




見つけたのはいいけど
奥手な私には、
今から何をすればいいのか
全くわからない。


だけど、ただ、


目がそらせない。




雨の音に私の鼓動が重なって
恋の始まりのメロディーが
聞こえだした。