「あたしと一之瀬君は同じ塾に通っていたの。」

「だからか…。」

全て謎が解けたような気がした。

「でも、あたし告白されたとき何も返事をしないで走って逃げちゃったんだ。こいつもどうせ前の男と同じなんだって思い込んじゃったから。」

「じゃあ、付き合ってるわけじゃないってこと?」

俺が聞くと宮坂は答えた。

「そう。付き合ってない。だって、一之瀬君いろんな子にモテるから…嫌なんだよね。」

宮坂はまだ話を続けた。

「かっこいいからいろんな女子に囲まれてうれしく思ってるんだろうなとか、女だったら誰でもいいから付き合いたいとか思って好きじゃないのにあたしに告白したりとかしたんだろうなって思ってたんだ。」

俺は堪忍袋の緒が切れそうだった。
”琉希亜はそんな奴じゃない!”とキレる寸前に宮坂が俺から目をそらして、

「でも、違ったんだね。」

そういったのだ。

俺の怒りはどこかへ吹っ飛んで行った。

「入学したばかりの時、一之瀬君廊下でいろんな女の子に囲まれてた。いい気になってるんだろうなって思ってみてたら、突然その女の子たちにキレたんだ。」

「あぁ、それ俺知ってる。」

確か、宮坂はにらんだような身をして琉希亜を見てたもんなぁ…。
今でも忘れられない。

「驚いたよ。」