「そうだ! これ、あげます」 奏心がポケットに手を突っ込んで、一口チョコレートをオレに差し出した。 「……バレンタインはすげー先だぞ?」 「……先輩には落ち込んでて欲しくないんですよね」 ポツリと言った奏心の言葉に顔を上げる。 「え?」 オレ、落ち込んでるなんて一言も言ってないぞ? てか、そんなにへこんでる? オレ……。