朝。昇りたての太陽がやわらかく校庭を照らす。

清々しい風が吹き抜けたと思えば、そこに走る人影が一つと、それを見守る人影が一つ、それぞれある。

走っている方は、校庭のグラウンドにいて、見守る方はそこから遠く離れたフェンスの向こうにいるのだが、見守る方はまるで、走っている人間と近くにいるように、高揚した表情をしている。

「廣田くん、頑張れ」

彼が走っている人間――廣田耀に、静かに声援を送った時。