「………オレが『このカフェオレ美味いよ』って勧めたヤツだから忘れたの??」
何なんだろう、葉山のこの言い方は。
「………さっき葉山さんが言った通りですよ。 左手でプルタブ開けられないからですよ」
佐伯さんが困った様に笑った。
「じゃあ、この缶のカフェオレの味は覚えてるんだ?? オレが勧めた事は覚えるえてない??」
葉山は何が言いたいのだろう。
カフェオレごときに、いつまでもグチグチぐちぐち。
「佐伯さ……「みなみが忘れたフリをしたいなら、オレもそれに付き合おうと思ってた。 記憶喪失のフリをした方が、オレと河野さんが付き合い易いし、職場のみんなも、その事について気を遣わなくて済むと思ったんだろ??」
見兼ねて佐伯さんに近づこうとした時、葉山が思いもよらぬ事を言い出した。
佐伯さんは、記憶を失ってはいないの??
「何んですか?? ソレ」
佐伯さんの眉間に、みるみる深い皺が入った。



