病院に着き、佐伯さんのいる病室に急ぐ。
病室の扉を開けると、ベッドに寝転ぶ佐伯さんがいた。
佐伯さんの頭は包帯でぐるぐる巻きにされて、左足はギプスで固められて吊られていた。
「佐伯さん!! 大丈夫ですか!??」
-----ぎゅう。
佐伯さんが生きているのが嬉しくて、子供みたいに佐伯さんに飛びついた。
「あはは。 どうした、菊池くん。 ちょっと大袈裟に見えるけど、怪我は全然大丈夫。 ・・・・・あそこで頭に石ぶつけられなかったらなー。 走ってる途中で眩暈しちゃってさ。 そしたらあっさり捕まってボッコボコ」
オレの心配をよそに、佐伯さんは暢気に笑いながらオレの髪を撫でた。
メールの動画の最後の痛がってる佐伯さんの声は、きっと石をぶつけられたからだ。
佐伯さんは、朦朧する中、走りながらあのメールを送ってくれたんだ。
つーか、笑いながら『ボッコボコ』とか言ってるけど、佐伯さんをフルボッコにしたの、殺人犯ですけど。
『ボッコボコ』っていうより、殺されかけたんじゃ・・・・・。
本当は相当怖かっただろうな・・・・・。
・・・・・にしても、佐伯さんに頭撫でられるの、気持ち良いな。
もう少しこうしてたいな。
・・・・・・が、
「佐伯さん、事件についてお伺いしたいのですが」
葉山がいる事をすっかり忘れていた。
邪魔だなー、コイツ。
「・・・・・あの、その事なんですが・・・・・今日のワタシの事だけはお話します。 ただ、ワタシが菊池くんに送ったメールの内容に関しては、明日の午後まで待ってもらえませんか?? 菊池くんが今日の夜の入稿に間に合えば、ウチにとってのスクープになるんです」
佐伯さんは記事を書かせる為にオレを呼んだんだ。



