「佐伯さんッッ!!」
慌てて佐伯さんの携帯に折り返す。
着信は鳴るのに何度鳴らしても出る気配が無い。
『出ない』と葉山に首を振ってみせると『ブーブーブー』またオレの手の中で携帯が鳴った。
今度は名波さんからだった。
「はい」
「佐伯がS病院に運ばれた。 佐伯が男に襲われている所を通行人が助けてくれたそうだ。 男も捕まった。 佐伯の意識はしっかりしているらしい。 菊池、葉山と一緒にいるんだろ?? 佐伯が2人に話があるらしい。 早く行ってやれ」
安堵した様な名波さんの声に、オレも安心した。
・・・・・・良かった。 佐伯さん、無事だ。
『佐伯さん、大丈夫だった』と女のコに伝えると、女のコは足の力が抜けたのか、その場にへたり込み『良かった。 本当に良かった』と泣き崩れた。
「もう大丈夫。 元カレも捕まった。 オレたち、行かなきゃなんだけど、1人じゃ怖いかな?? 誰か呼ぶ?? 呼ぶなら、その方が来るまでココにいるよ」
女の子の背中を擦りながら話しかけると
「平気です。 早く行ってください。 佐伯さん、待ってるんですよね?? 後日、お礼行かせて下さいと佐伯さんに伝えて下さい」
『今日は行けない。 足が言う事聞かない』と女のコが泣いてぐしゃぐしゃな顔で苦笑いをした。
「うん。 じゃあ、行くけど・・・・・・強がってないで好きな人に来てもらうんだよ」
そう言うと、女のコは顔を赤くして笑った。



