「『明日、ケリつけに行ってきます。 アナタが撮られた写真もデータも全部抹消してきます』・・・・て」
女のコは、吉田さんの出したお茶には手をつけず、俯きながらも懸命に伝えようとしていた。
「・・・・・・ケリって??」
そんな女のコを覗き込む様に、葉山が質問を続ける。
「・・・・・『携帯貸して下さい』って言われたので貸したら、メールを打ち出して・・・・多分元カレに送ったんだと思うんですけど、ワタシに返す前に佐伯さん、履歴消したんです。 だから何て送ったのか分からなくて・・・・・元カレからの返事も『分かった』で、何が分かったのか・・・・」
「・・・・・メール?? LINEじゃないんだ??」
そんなどっちでもイイような事を掘り下げようとする葉山に苛立つ。
佐伯さんは今、殺人犯かもしれない奴と一緒なのかもしれない。
「・・・・・佐伯さんに『LINEは良く知らない人のLINEに〔知り合いかも〕で表示されるのが嫌だから辞めたって元カレに嘘吐いて暫くやらないで頂けますか』って言われて・・・・・」
「・・・・・・メール、どのアドレス使ってましたか??」
それでも続く葉山の意味の分からない質問。
----イライラする。
「・・・・・・GOOGLE・・・・・・」
女のコの返事に葉山が『よし』と小さくガッツポーズをした。
・・・・・そうか。 どうでもいい事なんかじゃない。 大事な手がかりだ。
GOOGLEのアドレスを使っていたのなら・・・・。
「今からアナタの家に行きます。 GOOGLEメールなら、携帯の履歴を消してもパソコンには残ってる。 佐伯さんは、アナタの携帯が壊れたり、失くしたりしたとしても元カレからの脅迫だったり、殺人予告メールが送られてきた時に証拠が残る様にわざとGOOGLEアドレスにしたんです。 返す前に履歴を消したのは、アナタがこのことに気付くまでの時間稼ぎでしょうね。 アナタを守りたかったのでしょう」
『行きましょう』葉山は女のコにそう言うと、ポケットから車の鍵を取り出した。
「オレも行きます」
2人に付いて行こうと、オレもカメラを持って立ち上がった。



