「・・・・・・ワタシね、お父さんが死ぬまで『大概の事は謝れば赦される』って思ってた。 でも、そうじゃないんだよ。 警察がお父さんにした事も、ワタシがお父さんにした事も、絶対に赦されない。 でも、葉山さんがした事はワタシに赦してもらわなきゃいけない事じゃない。 ワタシたちは結婚してたワケじゃないんだから、葉山さんが誰と何をしようが葉山さんの自由だよ。 ・・・・・・なのにね。 どうしても勝手に腹を立てちゃうんだよ、ワタシ。 ・・・・・『誰かに苦しめられて殺されたい』とか言っておいてさ、いざその時が来たら、物凄く怖かった。 あの時、本当は『死にたい』と思って逃げなかったんじゃないんだ。 怖くて動けなかっただけなんだ。 そんな時、葉山さんは河野さんと・・・・・って思うとさ、私が怒るのは筋違いもいいトコなのに・・・・・・ね」
佐伯さんの言っている事は尤もな事かもしれない。
でも、普通に考えてやっぱり葉山は悪い。
佐伯さんは怒っていいと思うし、怒るのが当然だと思う。
でも
「葉山さんが謝らなければいけない事など、ワタシにもワタシの両親にも、1つもないんですよ」
佐伯さんは自分を責めるばかりで、怒ってもくれない。
佐伯さんは、葉山との間に分厚い壁を作っては、葉山の謝罪を拒絶した。



