どうなってるの?
なにをしてるの?




「寅」


正宗さんに呼ばれ、「くそっ」なんて言って立ち上がったのは、カナトくん。

カナトくんが……トラ?




カナト君は無造作に着ていた服を脱ぎ捨てると、正宗さんの前にドカリと座った。



「早くやれよ!うぜぇな」

「はいはい。すぐ終わりますよ」



そんな会話を聞きながら、身なりを整えて立ち上がった松田君を目で追う。



ドクン ドクン



松田君の瞳は、ふいにあたしを捕えた。

小さく体が跳ね上がり、息を飲む。

そんなあたしに松田君は、ふわりと笑みを返した。



あ……。

その表情は、少しだけ寂しそうで。



見ちゃいけないモノを、あたしは見てしまったんだ、きっと……。

こんな広いお屋敷の奥で、部屋を真っ暗にして。
静かに静かに行われる、それは、たぶんこの三國がずっと隠してきたこと。


松田君はいつもの春のような笑顔が、揺れていた。