「お、お母さん? どうしたの?もうハワイに出発したんじゃ……」

『うん、もう搭乗時間なんだけどね?雷が酷くて。真子たち大丈夫?結構な範囲で停電だって言うから』

「うん……それは大丈夫」

『そう。よかった。まあ、トワ君が一緒だし大丈夫よね?でもお休みだからってのんきにしてないでよね?』

「……うん。わかった。お母さんたちも、気を付けてね」



トワがいれば大丈夫って……。
そのトワのせいであたし、心臓が止まっちゃうかもしれないって本気で怖いのに。

お母さんは一体どういう認識なんだろうか。
あたしとトワの事。


はあ……。

最後はいつもの陽気な母に戻って電話を切った。
受話器を置いた瞬間、どっと疲労感に襲われる。


疲れた……。

ガクッとうな垂れていると、リビングの入り口で声がした。





「どうしたの?」

「っ! あ、ああ……お母さんがね、て、トト、トワ!ふふ服、服着てよー!」

「え?」



上半身裸のまま、トワは何食わぬ顔であたしの横を通過し、冷蔵庫からお茶を取り出していた。


ドクドクドク


思い出したみたいに、心臓が暴れだす。


はあ……あたし、無事にいれる自信、ない……。