「……」 かあああと頬が熱くなる。 「あ、りがと……ほんとよくなったみたい」 「うん」 トワはそう言って、部屋を出て行った。 ―――パタン やけにその音が耳について、トワが階段を降りていく足音までクリアに聞こえる。 ドキンドキン 『うん』ってそう言った時、笑ってくれた? 空色の髪がふわりと揺れて、蒼穹の瞳を細めたトワ。 綺麗な唇が、キュッと持ち上がったそのやわらかな表情が、いつまでもあたしの胸に焼き付いていた。