外に出ると、ふと空を見上げた。

あれ?雪……降ってないや……。
それどころかやっぱり今日は暖かい。



……ん?


と、その時不意に視線を感じて顔を上げた。
辺りを見渡してみても、そこには誰もいなくて……。



あ……。

蕾を膨らませてる梅の木の枝に、小さな小鳥の姿が見えた。

なんだ、コトリさんだったの……。
ホッと胸をなで下ろして、改めてその小鳥を見上げた。

鮮やかな緑。
尾には、黄色から桃色、そして赤と続いている。

すごく綺麗……。





門の外には、おとなしく座っている、猫を見つけた。



「アナタがあたしを案内してくれるの?」



しゃがんで猫を覗き込む。


あれ?
さっきの猫じゃないんだ……。

あたしをここまで連れてきたのは、真っ黒な猫だった。
目は黄金色で……。


でも、今あたしをチラリと見上げたのは藍色の瞳。
毛並みは綺麗な空色。



「……わぁ、キミ綺麗だね。ね、ちょっと撫でてもい?」


手を伸ばそうとすると、こちらを見上げていた猫はツンと顔を逸らした。
しなやかなその体が、グッと伸びて猫はあたしを置いて行ってしまった。

すぐに小さくなって見えなくなる、小さな後ろ姿。



「……ちょっとくらいいいじゃない。 あ、ま、待ってよ!」


普通……猫ってこんな感じだよね。

なんだか可笑しくて、あたしは慌ててその後を追った。