それから、あっという間に年が明け、まるで何事もなかったように、約束の日は過ぎて行った。

この日が怖かった頃を懐かしく思えるほどで、みんな笑顔に溢れていて。



でもね?
でも……あたしは時々思い出すの。

あの、蒼穹の猫の涙を……。





愛おしい人が眠るベッドを抜け出して、そっとベランダへ出た。

ブランケットをキュッと、抱きしめて空を仰ぎ見る。


今日もすっごく星がキレイ。
キラキラと自分の力で光る星が、すごく健気であたしは大好き。

あたしも、ちゃんと自分で輝けてるかな?

そんな事を思い、そっと胸元に触れた。



そこには、満月のようにほのかに光を灯す蒼穹の石。
ここに、天に登って行った十二支と猫の想いが詰まっている気がしてるんだ。


ゴソゴソと手をいれて、顔の前まで持ち上げた。



んー…でもこれ、指輪にしては少し大きいんだよね。
あたしには合わなかった。

どーせなら、合うものが欲しかったな。
なんて、これは贅沢だよね。