そうつぶやいて、猫は林の中へ消えていく。
その背中を追いかけたまま、茫然と呟く。


「ついて来いって、事だよね」

「……うん」


あたし達はお互いを見合わせて、重い体を何とか持ち上げた。



猫についてしばらく歩くと、小さいけれどもしっかりとした造りのお屋敷に出た。

青白い光を放つ猫が、その屋敷の中へと消えていくのを見て、思わず立ち止まった。


「ねえ、この家って……」

「うん。三國の家だ」


真剣な眼差しを向けたままトワが頷く。


お屋敷に近づくと、不思議と人の気配はしない。
誰もいないんだろうか……。

恐る恐る敷居をくぐると、すぐに目の前に小さな動物が現れた。


「どこに行っておいでだったのです!みな心配しております」

「ね、ねずみっ?」

「ねずみなんて失礼な!私の名前をお忘れですかっ」

「へ?」


その鼠は、あたしのまわりとクルクルと忙しなく回り、最後はぴょんと跳ねた。


ちょ、ちょっと、さっきから変なんだけど、みんなあたしを誰かと間違えてない?


そう言おうとしたけど、でもその言葉はすぐに喉の奥に引っ込んだ。


「…………」


―――だって……。


「な、なにこれぇ……」


目の前に、次々と動物たちが姿を現したから。