パチパチと薪の弾ける音。
炎が影をユラユラと揺らした。



「真子……」


炎の音と雨音にかき消されてしまいそうな、声。
バスタオルから、顔を上げると瞬間真っ白な煙が視界を覆った。


その中からふわりと手が伸びてきて、頬に触れる。


それからオレンジに色を変えた、柔らかな髪。
艶やかな肌色。

濡れた蒼穹の瞳が、あたしをすぐそばで見下ろした。



ドクンって心臓がなる。

トワの手が、頬を滑りあたしの顎をすくい上げるとさらにその距離を詰めた。



「―――ね、真子は俺が怖い?」



額に彼の前髪が落ちて、思わず目を細めた。
トワはジッとあたしの答えを待ってる。

答えてしまえば、この先に何が待ってるのかくらい、あたしにだってわかる。

……。




「……うんん、怖く、ない」


心臓がドクンドクンって、うるさいくらいに加速をする。
やっと声を出すと、それはすごく震えていて、か細くてとても大丈夫とは言えるものではない。

でもトワは、あたしの言葉にすぐに反応した。


「俺は怖いよ」

「……え?」


怖い?