「ハイ。どうぞ」

「え?廉兄、あたし達頼んでないよ?」

「お土産のお礼」


そう言って、廉次さんはニコリと笑った。


「わぁい!さすが廉兄っ。ありがとう」

「ありがとうございます」


あたし達は口々に言って早速パンケーキを頬張った。
甘いクリームと、柑橘類の酸味が口の中で弾けた。

幸せ~。

うっとりとしながら、店内を見渡した。
夕方だからだろうか、いつもの老夫婦の姿も、サラリーマンの姿もなく、落ち着いたBGMだけが静かに響いていた。