「ふふ。あったかいね」
丸くなっていた猫を腕に抱いて、あたしはその背中に頬を寄せた。
ほんと、あったかい。
空色の毛も、フワフワしてて、気持ちいいな……。
「……。それにしても、どうして戻れないのかな」
布団に顔を埋めて、小さくトワに訪ねた。
しばらく黙っていたトワは、蒼穹の瞳を閉じてあまり興味なさげに言った。
「さぁね。 ……でも」
「でも?」
「あと2ヶ月だし。その影響かもしれない」
「……」
それって、約束の日まで事だよね……。
少しだけ緊張したあたしに気付いたトワは、そっとその瞳を開けてあたしを覗き込んだ。
「まぁ……、今日のはたぶん俺の体調のせい」
「え?」
「調子悪かったし。いつもと違うなって気がしてた。それにここ京都だし」
「京都?」
「色んな気で溢れてる場所だからね。俺の血が影響された可能性だってある」
トワの血……。
猫憑きの、血……。



