「絶対、絶対動いちゃダメだよ?くしゃみとか、絶対ダメだからね?」
リュックごとトワを押し入れに入れて、あたしは何度も念を押した。
先に他のみんなはお風呂へ向かってる。
あたしも、自分の着替えを準備して、また押入れを覗き込んだ。
「トワ……」
「平気だよ。俺ジッとしてる」
「……」
小さな猫は、薄暗い押し入れの中でその蒼穹の瞳を伏せた。
うう……心配だよぉ……。
「ほら。行きな?みんな心配するよ」
「……うん。じゃ、行ってくるね」
のそのそと立ち上がったあたしを見上げ、トワはコクリと頷いた。
それからさっさとお風呂を済また。
なんかご飯もお風呂も、全然ゆっくりできなかった……。
もうすでに、疲労困憊。
部屋に入るなり、綺麗に敷き詰められている布団にダイブした。
「今日は楽しかったね。お目当てのお守りも買えたし。雨もすぐに上がったし!」
「うんうん。 あ~あ、明日にはもう帰るのかぁ」
なんて名残惜しそうに話すクラスメイトの会話が、少しずつ遠くなる。
フワフワとまるで雲の上に浮いてるみたい。
ウトウトしていると、いきなりバフッと風を感じて少しだけ目を開けた。
「ねぇ、真子。藍原くんの具合どうなの?」
「……え?」
トワ?



