「トワ、トワ……大丈夫?」
こっそりと声をかける。
その先は、もちろん背中のリュックにだ。
いくらなんでも無茶すぎる~、と思ってたけど、案外すっぽりと鞄の中におさまったトワ。
少しだけ開けたチャックから、可愛らしいヒゲが覗いている。
「トワ?」
「……話しかけないでくれる?なるべく息吸わないようにしてるんだから」
「えっ」
やだ……く、くさいの?
何も入ってないハズだけど……!
一気に血の気が引いて行く。
今すぐリュックからトワを引きづりだして、匂いを確認したい衝動に駆られた。
「違うよ、真子。酸素が薄いんだよ、ココ」
「あ……酸素ね……あはは」
って、ホッとしてまたすぐにハッとした。
前から思ってたけど、本当にトワってあたしの心読めないんだよね?
結構、心の声に返してくれるって言うか……。
ソワソワしてると、いきなり肩を叩かれた。



