「ね、ね、ほんとに真子と藍原くんって付き合ってるの?」
「えっ」
「そうそう。今日はたっぷりその話聞かせてもらうんだから」
「ええっ」
「うんうん。あたし達の知らない、裏の藍原くんを教えてよね」
「う、裏?」
ギョッとしてると、部屋の扉がいきなりあいて、総司朗先生が顔を覗かせた。
「お前たち!いつまでそこにいるんだ。集合時間とっくに過ぎてるぞ」
いきなりの先生の登場に、一瞬ひゃー!なんて固まったあたし達。
でもすぐに、部屋中楽しそうな声に包まれる。
「あ!そーちゃん!乙女の部屋勝手に開けないでよ」
「えっち!そーちゃんのえっち!」
総司朗先生は、みんなにとても好かれていて、いつの間にか廉次さんと同じように、みんなが“そーちゃん”と呼ぶようになっていた。
そんな先生は切れ長の目をギロリと細め、低く唸るように言う。
「その呼び方はやめろと何度も言ってるだろう。飯抜きにするぞ」
「きゃああ」
って、先生。
女の子には、たぶん勝てないと思います。
いくら総司朗先生が威嚇しても、それを嬉しそうに受け取るのを見て、思わずため息が零れた。
でも先生。助かったよ……。