「……っふ。あはは」

「……」



あ……、わらっ……た。


瞬間、ボンって感じで顔が一気に熱を持つ。



「? 真子、どーしたの?」

「……。う、うんん、なんでもない……」



胸に刻まれた、トワの笑顔。
初めて、ほんとに笑ってくれたよね?


優しく、ほんとに優しく笑うんだ。
柔らかな空色の髪が揺れて、長い睫をフワリと閉じたトワ。



トクントクントクン

心臓が、甘く震えるように鼓動を刻む。



しゅーって音を立てて火照る頬の熱をなんとか落ちつけたくて、胸に左手を置いて目を閉じた。

そんなあたしの横顔をジッと見つめていたトワの手が、あいていた右手に重ねられた。

ドキンと跳ね上がる心臓は、どこまでも加速して、怖いくらいだ。


わ……。


触れ合った手は、やっぱり少し冷たくて。
それでも、その指先は体温を分け合うように。
何かを求めるように、絡められた。


わわっ


スリスリとさすられて、ジワリと汗をかいていく。

な、なんだろう、これ……。
ただ、指先が触れ合ってるだけなのに、体の奥が痺れるような感覚に襲われる。



「っ、と、トワ……」


たまらずに、名前を呼ぶ。
一本一本絡め取られていく自分の指。

オズオズとトワを見上げると、長い空色の前髪の間から蒼穹の瞳と目が合った。


「―――なに?」