青い猫の花嫁


目を丸くしたあたしにチラリと視線を落として、それからまた廉次さんを睨んだトワ。


……な、なんか怒ってる?
あからさまに機嫌の悪いトワ。それでもその顔を見た瞬間心臓がドキドキして、顔がにやけてしまいそうになる。
自分の変化に、びっくりだ。

でも、そんなあたしとは裏腹に、トワと言ったら、久しぶりに会ったというのに、いつもと同じ。
なにも変わらない彼になんだか急にむなしくなって、胸の奥がチクンって痺れた。



「噂をしたら、だね~。それにしてもトワくん。顔怖いからね?」



ピクリと持ち上がったトワの綺麗な眉。

はあとため息を零したトワは、郁くんの反対側からあたしの隣に座った。


「前にも言ったけど、あんまり嫉妬深い男は嫌われるよ?トワくん」

「……廉次、黙ってくれる?それより仕事してよ。ほら、お客さん」


トワはそう言ってクイっと顎を動かして、視線をお店の入り口に向けた。
それと同時、涼やかなドアベルが響いて人が入ってきた。


「はいはい。 いらっしゃーい」


そう言って立ち上がった廉次さん。
クスクス笑っている彼を見上げるトワは、不服そうだ。


「もう少し真子ちゃんと真剣なお話したかったんだけど。また今度ね」

「え?は、はい」


パチンとウィンクされて、コクコクと頷いた。