大きなため息をついて、パっと顔を上げた。
それは爽子のため息。


目の前のカフェラテを見つめたまま、心ここにあらずだ。


「……爽子?どうしたの?」」

「え?」



キョトンと顔を上げた爽子。
驚いたように目を見開いている。


「何?」

「何って……」


口を開きかけたその時、不意に人の気配がしてその先を追った。



ん? 


見上げたのと同時。
目の前の椅子に、誰かが乱暴に腰を落とした。



「廉次!メロンソーダ!」



カナトくん、メロンソーダなんだ……。

いきなり現れた事にも驚いたけど、彼が頼んだものにさらに驚いてしまった。



「やあ、カナトも来たの?と、いう事はぁ~」



厨房から早速メロンソーダをもって顔を出したのは、廉次さん。
ニコニコとテーブルにコースターと美味しそうなアイスが乗っかったメロンソーダを置くと、お店の扉を仰いだ。



その時。


――カランコロン!


涼しげな音が鳴り、扉から顔を覗かせたのは、郁くんだった。