あたしが、トワを好き……。

そうなのかな、あたし、トワを好きなのかな……。


グルグルと考えていたら、眠気なんてすっかり冴えてしまった。


ガバッと布団を持ち上げて、ベッドから這い出た。


う、寒い……。

おじいさんが言ってたみたいに、ヒンヤリとした空気があたりを占めていた。

あたしは椅子に掛けていたカーディガンを羽織ると、カーテンをそっと開けて空を見上げた。



「綺麗……」



ビードロの空に浮かぶ、まんまるのお月様。

神々しいまでに、青白い光をたたえていた。



…………。

思い出すな、あの時……。トワの体を見てそう思ったんだ。

なんて、綺麗なんだろうって。

あれはあの雨の日だった。
あたしの為に、猫の姿になってくれたトワ。

優しいトワ……。



胸が潰れそうだ。


苦しくて、痛くて、キュッと胸を抑えた。



あれ?

あれは……。



2階の、ベランダ……。

トワだ!
トワがいる……!





そう思った瞬間―――……

あたしは迷わずに部屋を飛び出していた。