うう、何をそんなに怒ってるのぉ?
って、怒るに決まってるか。
こんなふうにトワの都合も考えずに押かけたんだし。
でも!それでも、連絡くらいくれてもいいと思う。
いままでずっと家にいたのに、突然何も言わずに帰って来なくなるんだもん。
ずるいよ、トワ……。
気になるに決まってるじゃん……。
やばい。泣きそう……。
すごい惨めだな……、絶対泣くもんか!
潤んだ瞳に気付かれたくなくて、トワから顔を逸らしたその時だった。
「うちの親父が言ってたんだけど、じいさん大丈夫か?」
あたしとトワの間に割って入ったのは、松田くん。
トワの痛いほどの視線を遮られ、はあっと息を吸い込んだ。
あたしは無意識に、息を止めてたらしい。
「……。ま、入ってよ」
少しの沈黙の後、トワはそう言ってさっさと家の中へと入って行ってしまった。
水族館では、自然とあたしの手を引いて歩いてくれたトワ。
それがなぜか、今は遠い。
なにコレ。
もぉ、あたしなんで泣きそうになってるの?
自分の気持ちがわからなくて、喉の奥にシコリが出来たみたいに息が苦しくなった。



