ギョッとして目を見張る。

トワはあたしに目を合わさずに、その歩調を緩めた。

え、今のなんでわかったの?
まさか心まで読めちゃうの?

やだ!そんなのやだぁ!


「……記憶の置き換えなんてそうそう出来る事じゃないんだ。能力を使うのだって、ほんとは認められていないし、すっごく疲れるんだから。それから、心を読むなんて事は出来ないからね」

「ええっ」



でで、出来てるじゃんっ
それに、今色々とおかしな発言したよね?


思わず立ち止まったあたし。

トワはそんなあたしに、視線だけを向けた。

長い睫の奥の、青い瞳が少しだけ細められる。


記憶の置き換え!!?
……信じられない。



産まれてこのかた、平々凡々に生きてきた。
それが、16歳の誕生日を迎えた今日この日に、まさか婚約者が現れるなんて。
しかも、特別変わってる!

ポカーンと開いたままだった口をなんとか閉じて、少し先であたしを待つトワに声をかけた。


「……トワって宇宙人って事?」

「は?」



ひーっ!

無表情が、ピクリと歪む。
あきらかに、ムッとした顔だ。