平気だよ。
だって、トワが濡れないように、あたしをかばってくれたんだから。


「……真子、苦しい」


ここから逃れようと、足をばたつかせるトワ。

それでもあたしは、腕の力を緩めることが出来なくて。そのままさらにキュッと押し込めて顔を埋めた。



「トワのバカ。なんであんな事したの……」


掠れた声が、にわかに震えていた。


「……なんで?なんでかな。勝手に体が動いてた」

「あたしなんか濡れちゃってもいいんだからね? ダメなのは、トワなんだからね?」

「うん。ごめん」


違うの。
そんな事を言わせたいんじゃない。

謝ってほしいんじゃなくて……。
あたしはトワに分かって欲しかったんだ。



「誰かに見られなくて……よかった……」

「……」