う、わ……こんな時に……。

なんか今日は色々あって忘れてたけど、昨日はあたし、トワにキスされて……。

猛烈に隣が気になって、バレないように盗み見た。


「トワくん?もっとオブラートに包まないと、真子ちゃん困ってるよ?」

「……っ!」


突然声をかけられて、飛び上がりそうな程驚いた。
すると、目の前に小さなチョコレートが差し出され、顔を上げる。

そこには廉次さんがいて、ニコニコ笑ってる。
しかも、とっても楽しそうに……!

この顔は……見られてたー!

ボンってもっと真っ赤になったあたしの前に廉次さんが腰を落とした。


「……廉次に言われたくないんだけど」


は?ってあからさまに不服そうに顔をしかめたトワ。
トワの言葉にニコリと笑って、廉次さんは、本当に申し訳なさそうにその目を伏せた。


「今日はごめんね?無理矢理連れ出すようなマネして」

「いえ……」

「真子ちゃんには、早く知って欲しかったんだ。僕らはね、君をずっと待ってたんだよ」



廉次さん……。

真剣なその眼差しにズシリ……って体が重くなったきがした。


「真子、そろそろ行こ」

「あ、うん」


トワがあたしの手を引いて立ち上がった。
そんなトワを見て、一瞬だけ廉次さんの瞳が大きく見開かれた。
でもすぐに優しく目を細めると、嬉しそうに言った。


「また来てね」