「兎と辰は、今日は来れなかったようですね。では、次は巳年の……総司朗」
もうわかった。
正宗さんが言ってるのは、きっと十二支の事。
トワは猫憑きって言ってた。
てことは、彼らは……十二支達の、物の怪憑きって事だろうか……。
牛と呼ばれた、松田君も……。
「つかなんで花見に、全員いねぇんだよ。元旦とこれは絶対だろうが」
相当つらかったのか、カナト君が大きく足を投げ出しながら言った。
彼の言う通り、十二支の中で、馬、羊、猿憑きの人たちがいなかったみたいだ。
と、いう事は……。
あとは、郁くんとナギさんがいて……トワと、あと1人……。
「あの子達にも人並みの生活があるからねぇ。ま、来れる人だけでって事になったのは今年が特別だからだよ」
「はあ?んなの知るかよ。だったら俺だって来なかったっつーの」
「カナト君はダメだよ、春休みで暇なのは総ちゃんのリサーチ済み」
「……ちっ!クソが」
廉次さんが総司朗さんの名前を出したとたん、グッと押し黙ったカナト君。
そんなに総司朗さんって怖いんだろうか。
たしかに、さっき見つめられた時、寒気さえしたけど……。



