「まだ子どもですよ」

「それでも何億人もの中から弾き出されたんだ、決定は覆らん」

神経質なしわがれた声の中、相馬は苛立ちを必死に堪えていた。

国際プロジェクト“wish”の失敗からはや2年――各国から日本の信頼を貶めるのには充分な時間だった。

先進国が大金を賭けたシャトルの打ち上げ失敗。

パイロット14名の死亡。

のしかかる重圧は1世紀前の戦争犯罪よりさらに重く、軒連なる南半球の先進国入りも拍車をかけ、日本の唯一生き残る選択肢は「従う」こと、それだけだった。