「美智子くん。君たちにはつらい世界を残してしまったな。パイロットたちにも申し訳ないが、彼らは助からないだろう。きっと奴らはわたしの部屋だ。……ここにいるのが日本人でよかった」

草川はそのまま美智子の腹に手を当て、ため息を吐く。

「君の子どもにも、幸せを願っている」

その後、扉は閉じられ、草川には彼を呼ぶ皆の悲痛な声は届かなかった。

引き出しから黒光りする銃を右手に取り出すと、左のこぶしを強く握り、草川は呟く。

「なぜ日本なのだ……」

目の前の超大型モニターに映し出される惨劇を眺める頬を、涙が伝った。