「日本は、終りだ」

草川の微かなその声に、広い部屋のあちこちから驚愕とすすり泣く声が聞こえる。
草川は「すまない」と一言、頭を下げるしかなかった。
そのまま美智子を見つめる。

「所長。草川所長……」

美智子も力なく草川を見返す。

それを確認したかのように、草川は強ばった顔になり、けたたましいサイレンと共に、声を張り上げてこの静寂を切り裂いていく。

「君たちは例の通路から脱出を!心配するな、奴らはわたしがなんとかしよう」

皆は口々に「そんな」と叫ぶ。