本当ははやく図書館に戻って勉強したかったのだが、
携帯を拾ってくれた恩人の言うことだしちょっとぐらいいいか、と思いお言葉に甘えることにした。

「おじゃましまーす」


家は木造の古い借家のようだった。
家の中は至ってシンプルで、本当に必要なものしか置いていないようだった。
ただ、風通しがよくエアコンもないのにとても涼しい。

「まあ、適当に座っていて下さい」

わたしがつったっているとおじいさんが声をかけてきた。

「あっ、はい、どうも…。」