もし、花音が下校のチャイム直後から板倉達にここに呼ばれていじめを受け、放置されていたのだとするともうかなり体力は消耗しているはずだ。


容体を見て救急車を呼ぼう。




体育倉庫までついた俺は、分厚い鉄の扉を何度も叩き叫んだ。


あいつの名を。




鍵を開け、中に入ると、そこにはびしょ濡れな姿の花音が。


俺が駆け寄り抱きしめると、

「優希くん、ありがとう」

とつぶやき、ぐったりと俺の腕に身を沈めた。


呼吸は荒く、体がとても熱い。

重度の風邪と判断した俺は、急いで救急車を呼び、病院で処置を終えてベッドで寝かされている花音の寝顔を見ながらいつのまにか眠りに落ちた。