ん…んぅ……

重いまぶたをこじ開けようとすると、急に差し込む眩しい真っ白な明かりに目が眩みそうになる。

次第にはっきりしてきた嗅覚が薬品っぽい匂いをとらえる。

この匂い…病院?

少し視界をずらすと点滴のパックが目に入り、自分が今入院しているということにようやく気がついた。

ん?

左手に感じるぬくもり。

横を向くと、私の手を握りしめたままパイプ椅子に座って寝息を立てている彼。

彼の方にかかっているコートはお母さんのものだ。

不思議にも、その寝顔が愛しくて、キュッと手を握り返すと彼がうっすらと目を開けて私を見た。

途端にハッと起き上がって

「起きたのか!大丈夫か?」
と、とても心配そうに問いかけた。

「うん、大丈夫。ありがとう」
とだけ答えると、彼は…中西くんは優しく微笑み、お母さん達を呼びに行った。


ふと自分の姿に目をやる。

昨日のことを思い出すと体のあちこちに残された傷が疼く。

出会ってまだ二日しかたっていないのに、彼のことであそこまでに変化する女子に心の底から恐怖を覚えたんだ。



ガラッとドアが開くなり、ママが私に抱きついてきた。

その目には涙が浮かんでいる。



そして、中西くんと二人で昨日あったことを一つ一つ話してくれた…。