「中西くん達5人って前の学校もみんな一緒だったんだね」

なんとなくそう切り出した私。

「あいつらは幼馴染。幼稚園からずっと一緒なんだ」
「へぇ、なんかいいね、そうやってずっと一緒の仲良しって」

これは私の本心だった。

お父さんの転勤などで、私には幼馴染と呼べる人も、特別仲のいい友達がいるわけでもない。

広く浅く、全員と関わるようにしてる。

学級委員はそうでないと務まらないっていつも自分に言い聞かせてるから。


「無理すんなよ」
彼が突然そう言った。

「先生から聞いたけど、あんた学級委員なんでしょ?休み時間とかも女子との話題に入って行かないで外見てるか読書してるかだし。あんたはそういうつもりないかもしれないけど、俺から見たらあんた無理してそうやって自分を殺して我慢してるように見える。もっとさ、気を楽に持ってもいいんじゃないの?」

なんでかな…

彼の言葉に

鼻の奥がツーンとして

目頭が熱くなる。

こんなにも私の心を見てくれる人は初めてだった。

私はいつだって、私がしっかりしなきゃみたいな変な責任感を抱えてた。

でも、そうやって強がってる自分が嫌だった。

みんなと恋バナしたいとか、好きな人を作りたいとか、きっと心のどこかにそういう気持ちがあったはずなのに、それを押し込めて…

今、私の中で何かが溢れた。

「….っ…ぅっ…っ…」

自分でもよく分からないけど、涙がとめどなく溢れてきた。

「泣くなって…」

彼はそう言って優しく頭を撫でてくれる。
不思議な人だ。
彼の言葉はこんなにも人の心に響く。

私の冷凍庫で冷やし固めていた気持ちをどんどん溶かしてゆく。

彼の暖かくて大きな手が私の頭に乗っかってて…なんか安心している自分がいる。
それと同時に

胸の鼓動が高まる自分もいる。