「あ、あの…メアド…。」
「メアド?…あぁ、あれね。」
平然とそう言う彼。

「他の女子には教えてなかったよね」
「めんどくさいから。ああいう甘ったるい声で話しかけられるの嫌いだし」
この人、今時男子にしては珍しいタイプかも。

「なんで私には教えたの?」
ズバリ、1番気になっていたことを聞いた。

「あんたはなんとなく違うと思ったから。」

違う?
みんなみたいに男子に甘えたみたいな声だしたり、絡んだりしないからかな?

単に興味がないだけなんだけど。

ふと彼の横顔を見た。

私の気のせいかな…

なんだかとても

切ない目をしてた。

心の奥に何かを隠してるような。


なんかこっちまで妙な気分になる。

沈黙の中、口火を切ったのは彼。

「あんたってさ、恋とかしたことないでしょ」

唐突な質問に少し戸惑った。

「ない…けど。っていうより、みんなのそういう話にも興味がないってだけだから。」

そっけなく返すと、彼はクスッと笑って言った。

「やっぱりあんた面白いな。」

面白い…のかな?

まあ、なかなかいないかもね。