一つの空き教室に入った彼のあとについて私も入る。
こんなシチュエーションじゃなければ………っ!!
こんな怖い顔の人じゃなかったら………っ!!
この二人っきりっていう状況はドキドキキュンキュンする場面なのに!!!!!
目の前に眉間にしわを寄せて立つ竹下絢斗をチラチラと盗み見ながら、私は違う意味でドキドキしていた。
「あ、あの、それで何の用が………」
そう言うと、ジロリとこちらを見た竹下絢斗。
「俺………」
俺!?俺が何!?
「俺と君とのお城を作ろう」
そう言って竹下絢斗は、ひざまずいて私の方に片手を差し伸べてきた。

