「いや、なんでもない」 そう答えてあたしは教科書へと向き直る。 ・・・・・また随分と前のこと思い出してたな。 丘から転がり落ちた時の絢斗を思い出して、吹き出しそうになるのを堪える。 「・・・・・あやか、鼻の穴ヒクヒクなってキモ、」 「シャラップお黙りなさい」 そう言ってあたしは机に置かれた絢斗の手に分厚い辞書を角から落とした。 「ギャァァァァア!!てっめ、何すんだよ!!」 若干涙目になり床をのたうち回りながら、絢斗が叫んだ。